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「そうやってすぐふてくされるところが子供っぽいっていうのよ。」 そういい彼女は微笑んだ。こうして見せる彼女の微笑みがぼくは好きだ。それはまさに慈愛の修道女のようで、ぼくのすさんだ心の癒やしであった。 「それで、最近具合はどう?例の鬼になにか動きはあったの?」 「いや最近はやけに静かになっててね。こっちとしては夜よく眠れてありがたいことなんだけど、まるで嵐の前の静けさのような不気味な感触だよ。」  数月前にぼくの心に宿った鬼のことは、真っ先にシエルには打ち明けていた。彼女はこう言った特殊な事例に関した相談を受けることが多いらしく、教会の主というのはほとんど表向きで、実際はこういう常識では扱えない問題を解決するいわゆる何でも屋のようなものになっている、と本人は言っていた。普通こんな話をすれば、ただの頭のおかしな人間だと思われて、まともに取り合ってもらえないのがオチであろうが、彼女は違っていて、こんな突拍子のない話でも親身に聞き入れてくれたのだった。 「そうね。こういう心の問題なら、お医者様に任せた方がいいのかもしれないけれど、あなたのはそれだけじゃない根深い何かを感じるのよね。」     
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