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その手を優しく握る大沼医師。
「僕達は、そうならないように気をつけなくちゃね」
「……そんな事言って、奥さんと別れない気なんじゃないですか?」
「その辺は、今晩例のフレンチレストランで……ね?」
「もう、そんなのばっかり……」
「まあまあ、愛しているのは君だけだよ」
「調子良すぎですぅ」
「ははは、我々の新しい未来に向けて、乾杯と行こうじゃないか……」
二人は島本に目を向ける事も無く、その部屋を後にしたのだった。
部屋には、島本孝明が「茉利子」に呼び掛ける声だけが虚しく響いていた。
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