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でも、今の僕には何かそうやって生き残ることが意味の無いことのように思えた。
どうせ生き延びたところで長くて25歳まで。
この団地内で同じ風景を見て同じ生活を送り続ける。
その行動は僕自身にとって意味があるのだろうか。
自分自身の子孫を将来に向かって残せる。
その意味はどれ位あるのだろうか。
何かいつになく虚無的な感じになっている。
アキコ姉が明日でお別れだと言う事も理由の一つ。
アキコ姉がお別れを何でもない事のように言った事も理由の一つ。
そう、アキコ姉は僕の世界でそれだけ重要な人だったのだ。
だから。
「ねえ、ミナト君。まだ起きている?」
ブースを仕切るカーテンの外からアキコ姉の小さい声がした。
「起きてます」
カーテンを開けてブースから顔を出す。
「ちょっとお願いがあるんだけれど、出てきて貰っていい?」
何だろう。
ブースから這い出て外へ。
「お願いって何ですか?」
真っ直ぐ前に立つとアキコ姉の顔がちょうど正面。
ちょっと照れくさくて下を向いてしまう。
ちょっとだけ膨らみかけた胸に目がいってしまってあわてて視線を首元に直した。
「あのね」
アキコ姉がそう言った次の瞬間。
僕はアキコ姉の両腕に捕まった。
顔が近づいた後ふっと唇に柔らかい感触。
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