君と一緒に

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#4  お別れした人の身体は少ない資源に投入される。  例えば食事の肉とか、石鹸等に使用する油脂だとか。  別にそれに良い悪いも無い。  単なる現実だ。  でも、僕はその事実に今色々と気づいてしまった。  アキコ姉とお別れしたら、アキコ姉もまたそうなってしまうという事に。  変な感情かもしれない。  少なくともこの団地(コロニー)の規則からは外れている。  でも僕はこの時、それは嫌だと強く思った。  アキコ姉とお別れしたくない。  そう思ってしまった。  だから僕はつい言ってしまう。 「アキコ姉、僕からも最後のお願いがあります」 「何かな?」  アキコ姉はちょっと首を傾げて尋ねる。 「散歩に付き合って下さい。長い散歩に」  ちょっとだけ考えるような素振りをした後、アキコ姉は言った。 「いいよ。それでどんな用意をしていけばいいかな?」  思ってもみなかった質問をされてしまう。  アキコ姉は僕の考えに気づいたのだろうか。  今の質問の意味がわかってしまったのだろうか。  でも僕はこの質問を利用しようと思った。  ちょうどいいと思うことにした。 「食べ物を持てるだけ。次に服を持てるだけ。蓋をして水を入れられるものがあったらそれも一緒に」     
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