0人が本棚に入れています
本棚に追加
ブースの外に出るとアキコ姉がプラボトルに水を汲んでいた。
僕もそれに倣ってプラボトル四本に水を汲む。
「案外簡単なものね。荷物もそんなに無かったし」
アキコ姉の装備も見た限り僕と同じ感じだ。
配られている物が共通だからしょうがないけれど。
「それで何処へ行くか、宛てはあるの?」
「この団地から出ようと思います」
僕は胸ポケットからあの図面を出す。
図面の現在地を指さしながらアキコ姉に説明。
「今いる『西一四一第六街区』の図面です。まずはここの通路からこの団地を出て、こっちの通路へ行こうと思います。うまく行けばまだ生きている無人の団地とか、もっと豊かで僕らも生きていける団地があるかもしれないですし」
アキコ姉はちょっと驚いたような顔で僕に尋ねる。
「どうしたのこれ。本にも端末を叩いても載っていないのに」
「去年、閉鎖区画を一人で探検している時に見つけたんです」
「凄いね。これがあれば色々迷わなくて済むかもしれないわ」
アキコ姉に褒められるとちょっと嬉しい。
でも残念な事実もある。
「でもここの団地分しか無いんです。この先が他の何処に繋がっているかもわからないですし」
最初のコメントを投稿しよう!