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「ううん。これだけでも充分に貴重な資料よ」
アキコ姉は図面を隅から隅まで見た後、折りたたんで僕に渡した。
「ありがとう。それじゃ行こうか。気づかれる前にここから離れた方がいいでしょ」
「追いかけては来ないと思うけれど、確かに早いほうがいいでしょうね」
エネルギー不足なので団地内の警戒とかそういう事はやっていない。
その辺は閉鎖区画を探検した時にわかっている。
でもまあ早いほうがいいというのは事実だろう。
遅くなっていいことなど何も無いから。
「じゃあ行きましょうか」
「はい」
僕達は並んで第二居住区の扉から通路へ出た。
学校と反対方向に歩いて今は閉鎖されている第一居住区の前へ。
この先の通路は隔壁で閉ざされているけれど僕は知っている。
第一居住区内から迂回できる通路があるのだ。
そんな訳で非常灯だけしかついていない第一居住区へ。
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