君と一緒に

19/25
前へ
/25ページ
次へ
#6  第一居住区を通り、壊れた非常扉からまた通路に出て、発電所区画の横を通る。  この辺りはまだ団地(コロニー)の図面に載っている。  でもここまで来る人は多分いない。  もはやこの辺りの機器について知っている人はいない。  全自動化され故障修理も自動で行う機械群に全てを任せるだけだ。  最低限の照明だけは灯っている通路をアキコ姉と二人で歩く。 「ここはまだうちの団地(コロニー)なのかな」 「まだ図面に載っている範囲です。もう少し先に隔壁があって、そこから先が団地(コロニー)の外になります」 「ミナト君はこの辺りには来たことがあるの?」 「その隔壁までは。だからそこまでは大丈夫です」 「凄いな、良く知っているんだね」  そう言われると少し恥ずかしい。  特に役に立つだろうと思って来たわけじゃない。  単に知らない場所をこっそり探検するのが楽しかっただけ。  他の人は知らない場所を知っているという優越感もある。  でもまさかアキコ姉とここを歩くとは思わなかったけれど。  結構歩いてようやく隔壁の場所。  ここの隔壁は横に非常扉があって、そこを通れる。     
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加