君と一緒に

4/25
前へ
/25ページ
次へ
#1  僕がいるのは『西一四一第六街区』という団地(コロニー)。  第五街区があるのかとか西一四〇があるのかとかは知らない。  ただ小さいなりに閉鎖系でも長期運用が可能な構造になっている。  小さいからこそ生き延びたとも歴史で学んだ。  敵の目標になるには小さすぎたから結果的に残ったと。  敵という物がどんな存在(もの)かはもう誰も知らない。  一応この団地(コロニー)にも守備隊の戦闘機が21機現存している。  でもシミュレーター以外で訓練をしているという話は無い。  僕の知っている限り戦闘が起きた事も無い。  僕らは人類を存続させるために生きている。  遺伝子を残すべきと選ばれた者は子孫を作り、それ以外はそのまま死んでいく。  食糧も生活環境も5,000人以内なら何とかなる。  自動機械が全てを保証してくれる。  だから僕らがやるべき事は人類の種を未来に繋いでいくこと。  それだけ。  その為にこの団地(コロニー)は存在する。  僕らはそう学校(ここ)で習っている。 「そろそろ遅いから一緒に居住区に帰りましょうか」  アキコ姉がそう僕に声をかけてくる。 「そうします」  僕はアキコ姉の横に並ぶ。     
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加