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#1
僕がいるのは『西一四一第六街区』という団地。
第五街区があるのかとか西一四〇があるのかとかは知らない。
ただ小さいなりに閉鎖系でも長期運用が可能な構造になっている。
小さいからこそ生き延びたとも歴史で学んだ。
敵の目標になるには小さすぎたから結果的に残ったと。
敵という物がどんな存在かはもう誰も知らない。
一応この団地にも守備隊の戦闘機が21機現存している。
でもシミュレーター以外で訓練をしているという話は無い。
僕の知っている限り戦闘が起きた事も無い。
僕らは人類を存続させるために生きている。
遺伝子を残すべきと選ばれた者は子孫を作り、それ以外はそのまま死んでいく。
食糧も生活環境も5,000人以内なら何とかなる。
自動機械が全てを保証してくれる。
だから僕らがやるべき事は人類の種を未来に繋いでいくこと。
それだけ。
その為にこの団地は存在する。
僕らはそう学校で習っている。
「そろそろ遅いから一緒に居住区に帰りましょうか」
アキコ姉がそう僕に声をかけてくる。
「そうします」
僕はアキコ姉の横に並ぶ。
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