君と一緒に

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 まあ一人になれる空間なんてこの団地(コロニー)全体でもここくらいしか無いのだけれど。  強いて言えば閉鎖区画かな。  設備が老朽化なり故障なりして使用しなくなった区画。  あそこなら人が入り込まないから一人になれるな。  電気が非常灯以外ついていないので暗くて怖いけれど。  去年の今頃は閉鎖区画に興味を持って色々こっそり探検していたのだ。  閉鎖区画と言っても実際に閉鎖されている訳じゃ無い。  使われなくなって主機能が落とされているだけだ。  扉が閉まっている場所もその気になれば結構入れる。  電動扉だけでなく非常用らしい手動扉があちこちにあるから。  そんな探検はある日発見した記録媒体をきっかけに終了した。  その媒体の中にこの団地(コロニー)全体の図面が入っていたのだ。  ある程度確認してみた結果、閉鎖区画も図面通りの事がわかった。  だからもう探検する必要は無いと当時は思ったのだ。  図面に描かれた閉鎖区画の余りの広さに圧倒されたというのもある。  それだけ図面に描かれた閉鎖区画は広かったのだ。  今使われている区画よりもずっと。  何となくその図面を呼び出してみる。  第六街区全体の図面が映し出された。     
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