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帰りに柴崎の車に乗り込むと、彼はすみれの手を取った。 「困ったな」 柴崎はそう呟いて首を傾げ薄く笑みを浮かべた。 困った顔が可愛らしかった。心臓がきゅっと掴まれるような痺れるような痛みがあった。 すみれは男の手を軽く握り返す。 ずるい遣り方。 頭の片隅で思っても、手を振りほどけなかった。 柴崎の手は白くて、それでも横幅があり、節々が目立つ男の人の手だった。
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