直和と洋人

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『今日の県内の降水確率は午後から90%でーーー。』 慌ただしく小さい兄弟たちの着替えとかの面倒を見ながら、朝のニュースの天気予報に耳を傾ける。 天気予報では、今日は雨が降るらしい。 「おい、今日は雨が降るみたいだから傘を忘れずに持って行くんだぞ。じゃ、いってきます。」 俺は一番小さい小学生の妹にそう声をかけると、高校へ向かうべく電車の駅へと向かった。 妹や弟が通う小中学校はうちのある集落の高台にあるから近いけど、俺が通っている高校は単線の電車で町の中心部まで行かなければならないので一番早くに家を出る。 駅までの道すがら、空を見上げてみると確かにどんよりとした厚い雲に覆われていて、いつ降り出してもおかしくはなさそうだった。 しかし、そんな天気なのに傘も持たずに無人駅のホームで電車を待つ人影を見つけた。 小さい頃からの幼馴染みの、拓未だ。 「おはよ、拓未。お前傘持ってこなかったのか?」
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