直和と洋人

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俺に声をかけられて、驚きもせずゆっくりと拓未が振り返る。 「あ、そうなの?ニュース見てないならわかんないや。」 飄々と返事をする拓未に、俺は空を指差した。 「ニュース見なくても、この空を見たら降りそうだってわかるだろ。」 俺につられて空を見た拓未だが、また表情を変える事なくすぐに前に向き直った。 「俺、あんまり自然の事わかんないし。雨降ったらその時考えるさ。」 拓未の素っ気ない返事にさすがの俺も少しだけイラっとしたが、拓未の家庭環境とかを考えれば仕方ない気もしてきた。 拓未の家は町の中心部で水産加工会社を営んでいるが、拓未が小さい頃にお父さんが亡くなってからおじさん夫婦が取り仕切っていて、東南アジア出身のお母さんと拓未は肩身の狭い思いをしている。 そんな背景もあって、自然の恵みを生業にしている人たちが多いこの町が、自然と共に生きているという事が嫌いなんだと思う。
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