鈍色、明けの明星

直和と洋人

そんな拓未の横顔を見ているうちに、ホームに電車が滑り込んできた。

ワンマンカーの後ろのドアを手動ボタンを押して開けると、いつもと変わらない光景が広がる。

この電車に乗っているのは、俺たち通学の生徒か、病院に通うお年寄りくらいだ。

そのなかから、馴染みのある顔を見つけて声をかける。

一つ前の駅から乗って来る洋人だ。

なんだかいつもと様子が違うのが気になって、俺も拓未もすぐに洋人へと駆け寄る。

その様子を、少し離れたところから奈波がジーッと見つめていた。