鈍色、明けの明星

直和と洋人

それを見た瞬間、俺の胸はギュッと誰かに鷲掴みされたかのようにとてつもない息苦しさと気持ち悪さを感じた。

もしも、自分の弟や妹たちが誰か別な親の元へ行ってしまうとしたら。

それを思うと洋人の目が赤い理由もすぐに理解出来るし、どうしていいのかわからなくなってしまうのも痛いほどにわかる。

「そっか。でも戸籍上そうなるだけで、死ぬわけじゃないんだからそんな顔すんなよ。お前がそんな顔したからって元に戻るわけでもないんだし。もう二度と会えなくなるとかだと話は別だけど。」

拓未は飄々と言うけれど、複雑な家族環境の彼が言うと言葉の重みが違ってくる。

俺は口を挟むことも出来ずに、ただ2人の会話を黙って聞くことしか出来ないでいる。

「なんか拓未、良平兄ちゃんとおんなじ事言ってる。」

そう言いながら洋人は微かに笑った。