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「そりゃ、そうしか言えないからな。良平さん、いつまでいるんだ?」
「明後日まではいるよ。」
「じゃあ、こっちにいるうちに話したい事とかいっぱい話しておかないとな。次はいつ会えるかわかんないんだろ?」
2人は、特に拓未は、やはり空気を吸う様に自然と洋人と会話を続けている。
どうしてそんなにも簡単に言葉を紡いで口にする事が出来るのだろう。
ガタゴトと揺れる単線電車の音と共に、俺は黙って2人の会話を聞いていた。
「どんなに頑張ったとしても、変わらないものなんて一握りだからな。」
拓未がボソリと呟いた言葉が耳に残る。
「変わるんなら、なるべく自分にいいように変わらせる努力は必要だとも思うけど。」
普段はこの世を見透かしたような飄々とした拓未らしからぬ、どこか前向きな言葉が出てきた事に俺は少し戸惑いを覚えたけど、そんな事に気が付かない洋人はただ首を縦に振って拓未の話を聞いていた。
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