奈波と洋人

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外に出ると、なんだか雨が降り出しそうな湿った空気がまとわりついて来て、空を見上げると予想通りの厚い雲に覆われていた。 今はまだ降っていないけれど、帰りに振ると困るから玄関から傘を持って電車の駅へと向かう。 洋人の住んでいる家から家は少し離れているけれど、最寄りの電車の駅は同じ。 部活があった時は洋人は野球部の朝練があったから一本早い電車で通っていたから会うことはなかったけれど、今はもう3年生で引退しているから遅い同じ電車に乗るから会えるはずだ。 洋人のお兄さん、良平さんは今日は家のお店にランチを食べに来る予定だから、その事のお礼も言わなくちゃいけない。 言いたい事がたくさんあって、話を頭の中で整理しながら私は国道沿いの歩道をてくてくと歩く。 山側の斜面にススキの穂がゆらゆらと揺れているのが目に入った。 秋がもうすぐそこまで来ている。 そう思うと、半袖のシャツが少し肌寒く感じ始めた。
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