奈波と洋人

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少しだけ高くなっている無人駅のホームが見えると、そこに人影も確認出来た。 同じ学校の制服姿が数人、いつもと変わらない光景だ。 その中で私のお目当の後ろ姿を見つけて、ほんの少し早歩きしてホームへの階段を駆け上がる。 「洋人、おはよう。」 私は満面の笑みでお目当の後ろ姿へと挨拶をする。 私に声をかけられて驚いた洋人がこちらへと振り返る。 「あ、おはよう。」 振り返った洋人は、どこか今日の空模様の様にどんよりとした空気をまとっていた。 「昨日は来てくれてありがとね。」 まずは昨日のお礼を言わなくちゃいけないと思って洋人の様子も構わず早口で考えていた事のひとつを口走る。 「うん。」 洋人が私の目も見ず生返事をするのが気になって、言いたい事の続きを我慢して洋人の顔を悟られない様に覗き込んでみた。 すると、いつもの子犬の様な無邪気さがなく、気のせいか目が腫れぼったい事に気がついた。
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