奈波と洋人

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電車にガタゴトと揺られながら、時々チラチラと少し離れたところにいる洋人に視線を向ける。 何度も無意識のうちにため息をついている洋人が心配になって、 声をかけたい。 もっと言えば、ぎゅっと抱きしめて話を聞きたい。 というどこか邪にも思える感情がぐわーっと襲って来ては頭の中でモヤモヤと駆け巡って、でも実際には何も出来ずにただ視線を送るしかなかった。 無言のまましばらくすると次の停車駅へと到着し、無人駅のために後ろの車両の前側の入り口からだけ同じ制服を着た生徒たちが数人乗り込んで来た。 「おー、おはよう洋人!」 その同じ制服姿の生徒の1人が、私が声をかけたくてうずうずしている洋人へと話しかける。 拓未だ。 拓未は私の姿に気がつくと、チラリと視線を向けたけれどすぐに洋人の側に行って肩を揺らした。 それに続いて電車に乗り込んで来た直和も2人に近付いて、男子3人で何やら話し込み始めた。
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