奈波と洋人

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そうこうモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、気が付けば学校のある駅へと到着してしまった。 他の生徒たちの降車の波に乗って私も電車を降りる。 電車を降りて上を見上げると、今にも雨が降り出しそうな程に空には雲が厚く広がっている。 傘を持ってきて正解だったなぁと思いながらとぼとぼと歩いていると、後ろからいきなり拓未が声をかけてきた。 「洋人に何があったか知りたかったら、放課後ちょっと付き合ってよ。」 やはり、拓未は私の気持ちを見透かしている。 洋人に直接聞けばいいのに、直接聞けないこの歯がゆさを弄ばれている様な気持ちもあるけれど、それ以上に何があったか知りたい気持ちが上回って、私は頷くしかなかった。 「じゃあ、また放課後な。」 拓未はそう言い残すと颯爽と駅を出て行った。 肌寒さを感じる風が海から吹き、私につきまとってそのまま山側へと抜けて行った。
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