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翌朝の事、少年は窓から外を見て驚いた。窓下に広がっているはずの鼠色をしたアスファルトがどこにも無いのだ。心沸き踊りながら一階のリビングに降りると仕事に行っているはずの父親が褞袍姿で炬燵にて暖かいお茶を啜っていた。
「あれ? お父さん、仕事じゃなかったの?」
「ああ、電車が止まってな」
「クルマで行けばいいじゃん。ついでに学校まで送ってよ」
少年は能天気に言った。父親は気だるそうに立ち上がり閉められていたカーテンを開けながら言う。
「これでクルマを出せるのか?」
窓の向こうは全て雪で埋まっていた。白が10割を占めており外の風景は何一つ見えない。隣にあるアパート、後ろ隣にある家、駐車場に停めてあるクルマ、何もかもが雪に埋もれて見えない。
「玄関行って戸ぉ開けてみろ。そーっと、そーっとな」
こう言われた少年は玄関のドアを開けた。ドアの向こうは真っ白であった。目の前には雪の壁が出来ていた。試しに下駄箱に立てかけてあったスコップで軽く突いてみるが固くて崩れる気配すら無い。
「どう言うことだよ」
あまりの雪の量に少年は戦慄した。そんな中、ポケットに入れていたスマートフォンが鳴り響く。学校の連絡事項のSNSグループの通知だった。その通知を見て少年はガッツポーズをした。
「お母さん! お父さん! 今日学校休み!」
満面の笑みで言う少年に対して両親は何の表情も変えない。
「都市機能が停止してるんだから当然だろ。多分、電車もクルマも動かせないぞ」
「もう、お買い物とかどうしたらいいんでしょ」
「おい、今日もお雑煮か」
「仕方ないでしょ。当分はお雑煮とお節と思いなさい」
少年はため息を吐いた。元日から続く正月メニューに飽き飽きしていたのだった。
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