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「優理さんにはこの島で、三つに割れた結晶……オーナメントと呼ばれるものを、集めていただきたいのです」
「オーナメント、ですか。なんかクリスマスみたいですね」
「クリスマス?」
「ああいえ。結晶っていうのはその、世界のバランスを保ってきたっていう力の、ですか?」
こくりと頷き、シアが右手を掲げた。
手のひらを、天窓から降り注ぐ柔らかな光にかざし、なにごとかを呟く。
触れた光が宙を踊り、きらきらと瞬きながら、島のものであろう地図を象っていく。
光の帯が、起伏のある山々に、生い茂る森に、流れる川に姿を変える。
「私たちが今いるのは、島のほぼ中央。神殿都市です」
シアが、地図を浮かべた右手とは反対、左手で、縦に長い島の中心部を示す。
ちょうど、大きな光の粒が瞬いているところだ。
すっかり光の地図に見とれていた優理だったが、「あの、大丈夫でしょうか」とシアに促され、慌てて頷く。
示された神殿都市以外にも、大小いくつかの光点が確認できる。光点のそれぞれが、人の住む街だとかを表しているのだろうなと、まだ混乱した頭で考えた。
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