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「試着しなくて良かったんですか?」
「もう時間ないし、店員さんのオススメなら問題ないと思うから」
「え~、試着したとこ見たかったです~」
「み、見せないよっ」
ランジェリーショップを後にした私は、早足でショッピングモールの出口に向かう。
電車通勤のナナちゃんとは途中でわかれた。
外に出ると空はもう真っ暗で、再度時間を確認する。
「やっば……」
仕事を終えた大人たちの姿で賑わう駅前を、焦り半分、だけれど半分浮かれた気分で、軽快に走り抜けた。
私の名前は森山英絵。
彼氏の吉田櫂とは付き合い始めて半年が過ぎようとしていた。
もちろん、大事に守ってきた(?)貞操はまだ捨てられていない。
この1泊2日の旅行がチャンスなんだ。
押し倒してでも捨てるぞ。
ビバ!脱処女!
私は一人、ランジェリーショップの紙袋を高々と掲げてそう決意した。
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