氷の煙

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 裕介にはわからなかった。  血のつながった家族であるトメに、自分の言葉が届かない。その事実を、どうにも受け入れることができなかった。 (こづかいをくれとか言ってるんじゃない、ばあちゃんのことを心配して言ってるのに…!)  祖母と孫という関係もあり、裕介が真面目に話せばトメはちゃんと聞いてくれた。今回も、いつもと同じように自分の言葉を受け入れてくれるものと思っていた。  確かに前半はちゃんと聞いてくれていたが、結局は突っぱねられてしまった。  しかも、二度とその話をするなという強い言葉まで言われてしまった。 (なんで……?)  裕介は、あまりの衝撃に立ち尽くす。  しかし、トメが茶の用意をすませてキッチンから戻ってくるのを見ると、顔を伏せてその場から離れた。 (くそっ)  彼はそのまま玄関へと向かう。行くあてもないまま、外へ飛び出した。  連休の中日しかも早朝ということもあって、家の周囲はまだ静かだった。通勤のために歩く人もいない。 (納得できない…! オレは正しいことを言ったのに!)  世界の静けさとは対照的に、裕介の心では悔しさと怒りとが渦を巻いていた。     
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