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昨日見ていたものとはちがうアニメや、深夜ならではのお笑い番組などを楽しみ、夜明け前に眠気を感じ始める。
そんな時、番組が切り替わってあの商品名が耳に飛び込んできた。
”本日ご紹介いたしますのは、この『菜皇』!”
(あ…!)
その名を聞いて、眠気がわずかに薄まる。彼は意識をテレビに向けた。
”野菜不足にはこの『菜皇』がサイコーにいい感じ! ご家族の健康は、『菜皇』にお任せください!”
出演者は、満面の笑顔と弾ける元気を前面に出しつつ商品を紹介している。それがなんとなく、裕介には白々しく映った。
その感覚が、今までぼやけていた疑問にくっきりとした輪郭を与える。
(ヤバい…何がヤバいんだろう)
裕介はスマートフォンを握り、視線と意識をテレビからそれへ移す。ブラウザを開いて、『菜皇』で検索をかけた。
すると検索結果を示すページの一番上に、販売会社のホームページへつながるリンクが表示された。
その下には、『菜皇』を紹介する別のサイトが続く。称賛の文字が踊るそれらを、裕介はフリックすることですぐに画面外へ追い出した。
やがてページの一番下まできた時、『菜皇』という商品名に別の言葉が加えられた、検索候補の一覧が示される。
(…えっ!?)
その中のひとつを見て、裕介の眠気は完全に吹き飛んだ。
”菜皇 脱法薬物”
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