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記事を読み終わった裕介は、その点に関してひとまず安堵した。
だが、完全なる安心からは程遠い。
彼は友人の言葉を思い出しつつ、記事から得た知識を頭の中で振り返る。
(アイツが言ってたヤバいってのは、薬物のことだったんだな…頭がおかしくなったり死んだりってことはないみたいだけど…)
そこまで考えた時、ふとトメの顔が脳裏に浮かんだ。何も知らないまま誇らしげに微笑む彼女を思うと、胸が強く締めつけられる。
それが裕介に、何かを決意させた。
(…ばあちゃんは買ったばかりだし、今ならまだ間に合うよな……!)
彼は、一度時刻を確認してから部屋を出る。
リビングへ向かうと、すでに起きていたトメが不思議そうな顔で彼を迎えた。
「おや…裕介、もう起きたのかい? 休みだってのに珍しいね」
(ばあちゃん…!)
彼女の姿を見た裕介は、緊張で体をこわばらせる。しかしここで退いてはならないと、一度深呼吸をした。
それから彼は口を開く。決意したことを、実行に移した。
「…あのさ、『菜皇』っていう健康食品のことなんだけど…」
「『菜皇』がどうかした…ああ、飲みたいのかい? よし、今すぐ用意して…」
「ち、ちがうよ。そうじゃなくて、その…」
「……?」
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