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「い、いや、でも…!」
「本当にヤバい薬物が入ってるんなら、今ごろテレビとネット、どっちでもニュースになってるはずさ。ちがうかい?」
「だから、まだ法律では規制されてない薬物なんだよ。ちょっと前に流行った脱法ドラッグってあるだろ? あれに似たようなもので…」
「脱法ドラッグは頭をおかしくするために飲むもんだろ。だけど『菜皇』はそうじゃない」
「そうだけど、ずっと買わせるためにヤバい薬物を入れて、毎日飲まずにはいられないようにしてるんだって!」
「だーかーらぁ、それはお前がネットで見ただけの知識だろうって話をしてるんだよ、あたしは」
トメの声に、少しばかり怒りが混ざってくる。
だがそれでも声を荒げることはなかった。彼女は、『菜皇』を勧めてきた友人のツルを引き合いに出して話を続ける。
「お前もツルさん、知ってるだろ? あの人は毎日元気だ。あたしも元気じゃ負けてないつもりだけど、何もしないままずっとそれを維持できるかって言われると、少しだけ自信がなくなる。これからはもうちょっと、食べるものにも気をつけなきゃいけないって思ったから、あたしは『菜皇』を買ってみたんだよ」
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