4)君が側にいる理由

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アルバイト先であるレンタルビデオショップは、いつも閑古鳥が鳴いている。 それは立地の悪さに起因しているらしいが、私が入る深夜帯なんて特に利用客も少なく、この仕事は果たして接客業と呼べるのだろうかと、何もせずにレジカウンターに佇む警備員に成り果てた私は欠伸ながらに誰もいない店舗を眺めていた。 位置にきれいに並べられたDVDは囲むように高く積み上げられ、圧迫感を感じるような店内。参考になればとでも思うもてなし心からか、店内にはポップがところどころ貼られ賑やかに彩ってはいるが、相変わらず来ている客は一人もいないようで余計にそれが寂しさを演出していた。 仕事なんて、客がいなければ生まれないのだし、私は手持ち無沙汰でレジに突っ立っているしかない。ロックバンドの新曲だとかがBGMで流れているおかげで退屈さは誤魔化されているように感じるのが有一つの救いだった。悩ましいましいところは、窮屈だと一目でわかる店内の狭さで、品揃えの悪さをここまで露呈している設計もあるのだろうかとアルバイトながら情けなく思ってしまう。
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