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そんな影との駆け引きを恵理には悟られたくは無い。
亮は更に戯けながら、いよいよ勝負に出た。
「それもまたオツでしょ?」
まずは上目遣い。
必殺技の小出しを始める。
「ったく。いつも勝手なんだから・・」
すると恵理は腰に手を当て、呆れた表情を浮かべている。
それはまるで、駄々っ子に言い聞かせているかのような言い方だった。
よし、脈あり!
一気に畳み掛けてやる!
すると亮は腹を括り、更なる上目遣いを始めた。
そして、
「ダメ?」
猫なで声。しかも首をちょこんと傾げている。
それはトリプルアクセルの連発にも匹敵する高度テクニック。慣れていなければ出来うる技では無かった。
俺は恵理の性格を全て知り尽くしている......
計算だと、これで絶対に落ちるはずだ!
落ちろ!
落ちろ!
落ちてくれ!
亮は心の中で、手を合わせた。
正に神頼み。
こう言う時は、ダメ元で頼んでみるのも一つの手だ。
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