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「そんな言葉、嘘くさくてヤダよ」
「だろ? お前はそう言うと思った」
間も無く、ジャッジは下される......
もし恵理が親指を下に下ろしたなら、俺はこの後、死ぬまで十字架を背負って生きる事になるだろう。
そんなのはごめんだ......
「ねんごろ、なの?・・・」
「あぁ、ねんごろだ。お前とずっとずっとずーーーっと、ねんごろでいたい」
そして、ジャッジは下された。
「・・・いいよ」
「まじで!?」
正直、そんな言葉が返って来ると信じてはいた。
でも、いざ確定的な言葉を耳にしてしまうと、今度は逆に懐疑心が煽られてしまう。
「自分で言っといて、なに、驚いてんの」
「いや、だって・・」
「泣かなくても・・。ほら・・鼻水出てる・・」
「ちがう、これは雨だから! 鼻水でも、涙でもねぇし」
遂に......
遂に......
恵理はプライドを捨てた。
そして、
そして、
俺と一緒になる事を約束してくれた。
しかし......
しかし......
まだまだ安心する訳にはいかなかった。
なぜなら......
なぜなら......
影はまだ、恵理の背後から去ってはいなかった。
西新宿高層ビルの屋上......
降り始めた雨は、更なる勢いを増していき、いつしかオレンジ色の夜景に、モザイクを掛けていった。
そんな夜景に見守られながら、フェンスを越え靴を脱いだ恵理を、今、漸く思い止まらせた亮。
しかし、黒い影となって現れた死神は、未だ恵理の元を去ろうとはしなかった。
恵理は踏み止まったんだぞ!
お前の負けだ!
なのに何でお前は、まだそこに居るんだ?!
早く消えろ! 消えてくれ!
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