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「じゃあ、こっち。おいでよ」
亮のそんな慟哭などお構い無しに、吹っ切れたような笑顔で語り掛けてくる恵理。
「OKしてくれるんなら・・お前がこっち来いよ」
(とにかく、フェンスを越えさえすれば、奴はきっと居なくなるに違い無い! さぁ、恵理......こっちへ来るんだ!)
「そんな、びしょ濡れじゃ、OKするしかないじゃん」
(もう『プロポーズ』なんて、どうでもいい!......早く、早くこっちへ来るんだ!......)
「うるせー。姑息な手だってなんだって、使ってやる!」
「ばーか」
「わかってるよ。こっちはな、もういっぱいいっぱいなんだよ! お前をこの手で連れ戻す為に」
「いつだって、どこでだって、OKするに決まってるつぅーの」
「え?」
「なんでもなーい。とにかくそっち行くよ。あたしが温めてあげる」
フェンスの上から、手を差し出す恵理。
その手をしっかりと受けとめる亮。
すると......
グイッ。
その時、身体を引き寄せられたのは
なんと、
恵
理
の
方
で
は
無
か
っ
た。
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