託された想い

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しかし、笑っていた男は次の瞬間その場に倒れた。 見ると、男は眠っているようだ。 「え?」 何が起きたのか分からずに、呆然とする僕を母さんは血を流しながらも心配した。 「大丈夫?」 コクリと頷く僕。 「そう。良かった。」 母さんは崩れ落ち床に倒れる。 「母さん!!」 急いで抱きかかえると、母さんはいつものように微笑みながら語り掛けて来た。 「アバン。 さっき話した恨みや憎しみの事は、覚えてるわね。」 「覚えてるよ。 でも、そんなこと言ってる場合じゃないよ! 早くお医者さんに見てもらわなきゃ。」 「アバン。 もういいの。 この傷じゃもう治らないし、今この国は攻撃され混乱している。 お医者さんもすぐには見つからないは。」 「やだよ! そんなこと言わないで! 僕が絶対に見つけるから、きっとよくなるから!」 「アバン。 聞きなさい。 これからこの国はきっとまた戦争を始めるでしょう。 そうなる前に、あなたはこの国を出なさい。 隣国、アセロ国の近くの森に一軒の小屋がある。 そこにいるフォンダという人を尋ねなさい。 きっとあなたをかくまってくれるはずよ。」 「何を言ってるの? 僕は絶対にここから離れない、母さんから離れないよ!」 「アバン!! あなたはもう13歳。 一人でも立派に生きていける!!     
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