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「でもね、誰より魔法を愛していたわ。
だから、正直戦争で魔法が使われることに対して、お父さんはものすごく反対してた。」
僕も不鮮明ではあるが、父さんがよく魔法のことについて話していたのを覚えている。
そして、魔法は人殺しのためではなく、僕達の生活を支えてくれる大切なものだと言うことを、話してくれたことがあったと思う。
僕にくれた右手の指輪も、そんな想いが託されているのだと思うと、「もっと上手く魔法が使えるようになりたい。」そんな気持ちが沸き起こってくる。
ただそれにはまず、なんとか明日の再試験に合格し、更に魔法について学んでいかなければと思わされた。
シチューも出来上がり、母さんと一緒に食べると、寝る前に少し魔法の練習をすることにした。
「我に宿りし右手四ノ支。跳ね上がれ!!」
ピョコ。
「うーん、やっぱり駄目か。
ねーウサギ、どんなイメージをしながら唱えれば上手く行くのかな?」
ウサギは、
「僕の跳ね上がるイメージは、こう、なんだかピョーンって感じかな。」
と言った。
一生懸命説明してくれたのだろうが、さすがに擬音だけではイメージすることは難しかった。
結局その日の夜遅くまで練習したが、結局一度も成功せず、朝を迎えた。
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