第2章 腐れ縁

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第2章 腐れ縁

「俺、お前んちの近く引っ越したから」 腐れ縁とは一般的に、悪縁のことをいうらしい。 悪縁まではいかなくとも、稀にこのような由々しき事態が起きることがある。 「は?なんでだよ。てか、そういうことは越す前に言えよ!」 「いや、先に言ったら引っ越されると思って」 「早速、前向きに引っ越しを検討中だよ」 「冷たいねえ」 加地とは小中高と学校が同じで、大学は違えど友達の紹介で入ったバイト先が同じという奇妙な偶然が続き、就職後やっと彼から解放されたと思った矢先、このような残念な展開が待っていた。 「まあ、ルールさえ守ってもらえれば」 彼に課したルールは以下である。 ①連絡なしに訪ねてこないこと ②他の人といるときに遭遇しても話しかけないこと ③通勤中見かけても放っておくこと ④連絡は必要最小限 「彼氏かよ!ねえ、俺ってお前のなんなの?」 「勿論知り合いだろ。彼女の台詞みたいの言うなよ。」 「知り合いねえ。てかお前友達いんの?」 「少なくともお前が友達だと思ってるやつらの中で、お前のことを友達だと思ってる奴の数よりはいるよ。」     
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