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「いってきます」
といえば前まで帰ってこなかった返事が帰ってくる。
『いってらっしゃい』
返ってきたいってらっしゃいに感動しながらも仕事に向かった。
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またオレンジ色の街を歩く。
ミオが来てから1週間。
毎日いってきますといってらっしゃい、ただいまとおかえりなさいを繰り返せることに幸せを感じながら過ごしている。
玄関の扉を開ければ見慣れた我が家。
「ただいま」
おかえりなさいと返される挨拶。
…
あれ?
「ミオ?ただいま。トイレでもいってるのか?」
返事が帰ってこないのでトイレにでも行ってるのかと思い探すがいない。
トイレにも浴室にもいない。
ミオはどこにもいなくなっていた。
探し続けて約一時間。
疲れてソファーにドサリと座り込む。
あの日、ミオとはじめてあった日もこんな感じだったなと思い返しながらもう新しいと感じなくなった家を見渡す。
ミオが持っていたたくさんの私物が跡形もなく消えていた。
時に違和感を覚えたのはミオが持っていた謎のリュック。
リュックの中にはたくさんの日用品が入っていたんだっけ?
コップ、水筒、歯ブラシ、服。
最初から住み込むつもりだったのかと前と同じ疑問を浮かべボーッとする。
机に置いたコーヒーはすっかりぬるくなっていた。
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