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普通、乗車するのが運転手を含め身内だけの場合、
上座は「助手席」になるハズだが。
運転手はきっちり黒いスーツ姿の何となくチャラい
感じのお兄さんで。
助手席にはやけに顔の整った、
これまた黒いスーツの男が乗っていた。
「あぁ ―― この2人はこれからもちょくちょく
顔を合わせると思うから紹介しとくな。運転してん
のが浜尾利守。助手席のおっさんは、俺の秘書兼
教育係で八木だ」
2人はそれぞれ俺に向かって目礼した。
「秘書兼教育係、って?」
「社長……もしや、自己紹介もまだなのですか?」
”八木”と言われた男が前を向いたまま言った。
「あーっ! そういやぁーそうだったな」
って、ガハハハ ―― と笑い飛ばすイケメン君。
「俺、手嶌竜二、ヨロシクな」
「お、俺、いや、僕は成瀬真守です」
「やだなぁ~、そんな急に畏まるなよ。俺の事は
竜二って呼んでくれ」
砕けた口調は相変わらずだけど……
あのマンションといい、
この高級車といい ――
よもや一般人だとは思ってねぇし。
よーく見れば、八木さんも、一見チャラい浜尾さんも
”夜の世界の雰囲気をまとっている”というか……
気軽には近寄り難い雰囲気がある。
「あのぉ……社長 ―― って?」
「あぁ。一応親父から受け継いだ会社動かしてる」
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