竜二の告白

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「……わぉ……」  一面の広い窓に展開される美しい眺望に ――  もっと違った表現もあろうものだが。        とっさに出た言葉はそれだけだった。      竜二はさり気なく真守の腰に手をやり片隅の  ライティングデスクの所へ促した。     「―― 開けてみて」 「え?」  机の上には、1通の封筒が置かれていた。    言われた通りその封筒を開けた。    出てきた1枚の紙切れ ――。 「……?」     文面の一番上には ”完済証明書”とある。    その文字を目で追った真守は、  何度もその言葉の意味を脳内で反芻した。    かんさいしょうめいしょ ―― って、  あれだよね、つまり、借金は全部払い終わった  って、しょうめいしょ……。    でも、どうしてこんなものがここに?     「おい、マモ? 大丈夫か?」  いつもなら、そんな風に聞かれれば ”大丈夫”と  返答する真守だったが、今は頭が少々混乱していて、  かなり大丈夫ではない。  契約終了、と赤い文字で書かれている書類を  持った手が、ブルブルと小刻みに震えてきた。
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