再出発

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      続いて『起きなさいバカ息子!』という声と共に  LDKの内扉がバーン! と開いた。 「んだよ、ババアか」 「ババアか、じゃ ――」  入って来た艶やかな和装のご婦人は、  親友のお母さん。  何故か、彼女は真守を見て驚いたように固まった。    八木さん・マオさん、そして学校でよく見知った  クラスメイト・国枝 あつしも一緒に入ってきた。  (え? なんで、皆んな一緒??)     「あら、やだ。私ったら……」  小母さんは何を思ったのか、手に持った  エルメスのバーキンから化粧アイテムを取り出し  せっせとメイク直しを始めた。     「リュウも意地が悪くなったわねぇ。一緒にいるなら  そうと言ってくれれば、私だって遠慮したのにぃ」   「嘘つけ」 「―― で、この子がそうなの?」  って、俺をまじまじと凝視する。     「あぁ」      23にもなる息子の部屋に図々しくも上がり込み、  文字通りたたき起こしてくるのは、煌竜会の姐で  竜二らの母親。  国枝 登紀子・55才。  で、一緒にのこのこ着いて来やがったのは竜二の  末弟・あつし。      ったく、いつもの調子でガァガァ騒ぎ立てる  もんだから、真守は完璧に萎縮しちまってる。  今までかなりいいムードだったのにっ!     「組の若い衆が言ってる通り、あんたには勿体無い  くらいの可愛い子じゃない! それに、あんたが  自分の部屋にあげるった事は今度こそ本気なのよね?  期待していいのよね?」 「本当にうっせぇ! 少し黙れ」 「あーもう感動! 嬉しい! 最高!」  (何がどうなってるのか、さっぱり分からない……   別れても尚 ”小父さんlove”の小母さんなら   竜二の遊び相手って事はなさそうだけど) 「だーっ!! 2階で着替えてくっから、ここで  待ってろよ。覗きに来るんじゃねぇぞ」      と、真守を姫様抱っこしながら立ち上がった。     「ハイハイ、大人しくしてるよ」    と、あつし。     「今日は神楽くんとマコちゃんも呼んであるから、  さっさと降りてらっしゃいよ」   「それを早く言えよ」 
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