再出発

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「で、ここからが本題だ」  竜二は少し俺と身体を離して、面と向かい。     「お前はまだ未成年だから法的に保護者又は後見人の  擁護が必要なんだ。お前さえ異存がなければ国枝の  家へ養子に迎えるが、どうだ?」 「……」 「真守?」 「……ほんとにいいの? 俺みたいんが家族になったり  して」      竜二は苦笑交じりに言った。     「俺みたい、って何なんだよ……お前はもっと自分に  自信を持て。でも ――」   マジしんどかったなと俺の髪の毛を優しく撫でて  くれる竜二。  嬉しかった。もう怖がらなくていい。  もう、何処へも逃げなくていいんだ。 「ハハ ―― 涙、止まらねぇな」  と涙を拭ってくれる。 「何か飲むか? そしたら少しは落ち着くだろ」  うんと頷き、「何か温かい物を」って俺が言うと。    竜二が作ってくれたのは、蜂蜜の甘みほんのり  優しいホットミルク。  何か、竜二とホットミルクって組み合わせが  ミスマッチで笑えた。 「ん? どした?」 「うん……幸せ、だなぁって」  カップを両手で包み込むよう持って、  ふぅふぅ冷ましながら飲む。    ―― さてと、ソレ全部飲んだら風呂入っちまえよ。  と、立ち上がり。 「俺はもうひと仕事だ」  上着を脱ぎそしてネクタイも抜いて、  リラックスした恰好で仕事部屋へ入って行った。
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