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「お兄さまっ!」 緊迫も静寂も……戦場の空気すらも華やぐ存在である我が妹は、トテトテとした軽い音と共に帰宅した 私を見るとすぐさま駆け寄ってくる…… かわいい。 「リエラおかえり」 「お兄さま、ただいまです!」 と言った妹は私をまじまじと見つめ、そして不思議そうな顔をした なんでだろう? 「お兄さま……今日の格好も凛々しくてすごく素敵なんですけど、何か用事でもあるのですか?」 なるほど! 確かに私は普段から洒落た服を身に付ける方ではないし、用事があるという見立てはかなり鋭いものがある しかも、ほぼ当たりときた さすがは私の妹だね…… お兄ちゃんは嬉しいぞっ! 「ああ、ちょっとお見合いがあってね……無事終わったからもう大丈夫だよ」 終わったといってもニシン王女はまだ屋敷の中にいるんだけれども、それは言わなくても良いだろう ……多分 「お見合い?」 首を傾げる妹もなかなかに可愛いが、ここは兄としての責務を果たさなければならないであろう 「婚約……将来的に結婚する相手を決める為に会って話をすることだよ」 言った後に気付いたが、この言い方……というか説明はリエラにはわかりづらいのではなかろうか? 将来的って単語とかもそうだし、結婚という単語も普通の九歳児が分かるか?と言われるとちょっと微妙だ
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