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窓からの景色は庭ばかりで、視界に入った植木は濃淡がてんで統一されていない葉をサラサラと揺らしている。 貴族に転生して早10年 「マコトぼっちゃま、お客さまがおいでになりましたよ」 使用人のシュラスさんが私に言伝てる 「ああ、ありがとう……今いくよ」 そう返した後に立ち上がり玄関を目指して歩きだした。 マコトゥリエ・ウィンヴァッテン・ザード。 それが今生における私の名だ 何故かウィンヴァッテン公爵家という家に生まれたのだが、どうもこの世界の貴族というのは私の認識とは異なるものの様で 生まれた順番など関係なく、実力と人格を併せ持つ人物を当主としておくのが当たり前だそうだ。 「お待たせしました、私になにか用ですか?」 「王宮の使いの者です、お見合いの日程を知らせに来ました。」 こちらになります、と差し出した書類を受け取りざっと目を通した。 「ご苦労様、これは当主に渡しておきますね」 父に見せないと事が進まないし、これは仕方ないかなぁ。 「よろしくお願いいたします、ではこれにて失礼」 使いの背を見送ったのち、屋敷の中へと戻る。 扉の閉めた音を鳴らし踵を返し歩きだす 父の部屋はどこだったかな。
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