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昔々、あるところに王様とお姫様と王子様がいらっしゃいました。
彼らはたいそう仲がよく、いつしかお姫様のお体には、新しい命が宿られました。
このことをとても喜んだ三人は、新しく産まれてくるであろう子供に、願いを込めた祝福の言葉を口ぐちにおっしゃいました。
王様は、我が子が姫と王子のように強い子供になるようにと。
お姫様は、我が子が王と王子のように優しい子供になるようにと。
王子様は、我が子が王と姫のように美しい人になるようにと。
彼らには魔法の力はありませんでしたが、お子様は願い通りにすくすくと成長しました。
誰よりも強く、誰よりも優しく、誰よりも美しい少年になったのです。
ですが、これは御伽話なのです。
幸せなだけの御伽話など誰が求めましょう。
生憎、少年はお姫様ではなく、悪い魔女もおりませんでしたので、糸錘にさされて百年の眠りに就くことはできません。
ですから、このお話だけでは足りないのです。
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