新しい資料

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新しい資料

「新しい資料だ、受け取れ!」 「またですか」 私は驚きつつ、その資料を手に取る。 「どれどれ、あ、ここが気持ち悪い」 「出来たら、ボックスの中に入れておけよ」 「分かってますって」 部長の資料は、もはや別の言語で書かれているかのように思える文章だ。私はそれを訂正するわけだけど、実際問題、二度手間のように感じてならない。 何より、新しい資料って、一体なんだ。 「ここを、こうして  BをAにしてっと」 「ちょっと、お茶してくる」 「部長?」 「なんだい?」 「なんだい、じゃありませんよ、仕事はどうしたんです?」 「今は無いから、休んでも良いかなと思って」 「良くない」 というか、できることなら、部長一人でも資料が作れるように、なって欲しいわけで 「私の作業、見てもらえませんか」 「お茶しながらでもよければ」 とりあえず、私は、部長を叩いた。 「分かったよ、田川君」 「よろしい」 もはや、どっちが上司なんだこれ。 私は、部長の文章における訂正箇所を知らせていく。 昼休みになると、私は、コンビニに買い出しへ行った。新しい書類の確認は終わりそうなのだが、冷静に考えると、自分の作業が全くと言っていいぐらい進んでいない。 どうするか、どうするか。部長を左へ遷らせるか。 勿論、部下である、私に上司をどうこうできる権限はないのだけど。 結局のところ、部長はお茶しながら、私の話を聞いていた。せんべいは、キーボードに着くわ、ピーナッツは顔に当たるわで、さんざんだったが、もういろいろと吹っ切れた。 まあ、怒らなかったわけだけど。 結局、部長に頼まれた文章の訂正作業は終えたわけだけれど、それを局長に伝える際、部長の態度について、軽く触れることにした。局長がどうにかできる問題なのかは分からないものの、言わないよりかは、ましだろう。 即日、部長はいなく、ならなかった。 私は、そのまま、仕事を続けた。自分の仕事がとりあえず、終わる前までに。
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