夢うつつ

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夢うつつ

ふと気がつくと俺は人ゴミの中で立っていた。  まわりを見渡すと高いビルがたくさん建ち並んでいて、道路にはたくさんの車が走っていた。俺の横を通り過ぎる人たちは、恋人同士や家族や友達と様々で、みんな楽しそうに歩いていた。  そんな中、俺は『独り』で立っていた。  なぜ独りで立っているのかは分からないが、とりあえず今の状況を確かめようと自分の身につけているものを調べた。洋服を着ているのは助かる。それから黒のジャケットのポケットには結構な金と金色のカードが入っていた。 “これならなんとか過ごせる”  そうわかると今まであった不安は消え、足を一歩ずつ踏み出していた。  どこか行くわけでもなく、ただただ歩いていた。  歩き出すといろんなものが目や耳に入ってきた。笑い声が良く聞こえてくる。町はイルミネーションで彩られていて、今はクリスマスなんだと分かった。   しかし、この町は一旦路地に入ると、クリスマスとは違う下品な電飾をチカチカさせ、大人達を誘惑する。すれ違う人々の目はいろんな意味で妖しかった。
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