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「だから学校なんだねぇ」
雛は生温い風に、体を震わせた。
いずれ、時の権力者に目を付けられるかもしれないこの土地を守る為、創立者は学院を設立した。
簡単にこの土地を渡さぬ為、学院と共につくられたのが……。
「『封話部』……今のオカルト研究部なんですね」
九曜は忌々しそうに言い捨てた。
学院と共につくられたのは、『封話部』。
この土地を守る為に設立された、特殊な部。
現在はその名をオカルト研究部と名を変え、今まで存続している。
封話――その名を通り、話を封じる為に作られた。
この土地が特別な力を持つという『話』を、『封』じるのが、現在のオカルト研究部・部員達の役目だ。
もし『封話』が破られた時、この世がどうなるのか――
それは決して良いものではないと創立者は<視>た。
だからこそ学校と言う封印の塚を建てたのだ。
そしてその守人達こそが、選ばれし生徒達だ。
その活動内容が、今夜、明らかにされる。
五人は十字架の前で、深呼吸をした。
そして時計の針が八時をさしたその時。
ゴーンゴーンゴーン……
……誰もいないはずの、校舎にある鐘が鳴り始めた。
五人は十字架を握った。
するとあっけなく、十字架は五人の手の中で砕けて散った。
すると十字架から、黒いモヤが吹き出した。
五人は慌ててその場から離れ、空を見上げた。
五箇所からあふれ出したモヤは、空を覆い隠し……光輪学院高等部を覆ってしまった。
「閉じ込められたのね……」
神無月は悲しい目で、空を見上げていた。
封印が解かれれば、彼女の<言霊>の力でもここから逃げることはできない。
ここから出るには、やることは一つ。
このモヤは土地が封印されながらも惹き付けてしまった邪気。
オカルト研究部は年に一度、封印をあえて破り、そして再び封じることが役目。
しかし封じるにも、このモヤを何とかしなくてはならない。
――五人はその場から歩き出した。
邪気を封じる為に……。
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