封印解除

2/2
前へ
/46ページ
次へ
「だから学校なんだねぇ」 雛は生温い風に、体を震わせた。 いずれ、時の権力者に目を付けられるかもしれないこの土地を守る為、創立者は学院を設立した。 簡単にこの土地を渡さぬ為、学院と共につくられたのが……。 「『封話部』……今のオカルト研究部なんですね」 九曜は忌々しそうに言い捨てた。 学院と共につくられたのは、『封話部』。 この土地を守る為に設立された、特殊な部。 現在はその名をオカルト研究部と名を変え、今まで存続している。 封話――その名を通り、話を封じる為に作られた。 この土地が特別な力を持つという『話』を、『封』じるのが、現在のオカルト研究部・部員達の役目だ。 もし『封話』が破られた時、この世がどうなるのか―― それは決して良いものではないと創立者は<視>た。 だからこそ学校と言う封印の塚を建てたのだ。 そしてその守人達こそが、選ばれし生徒達だ。 その活動内容が、今夜、明らかにされる。 五人は十字架の前で、深呼吸をした。 そして時計の針が八時をさしたその時。 ゴーンゴーンゴーン…… ……誰もいないはずの、校舎にある鐘が鳴り始めた。 五人は十字架を握った。 するとあっけなく、十字架は五人の手の中で砕けて散った。 すると十字架から、黒いモヤが吹き出した。 五人は慌ててその場から離れ、空を見上げた。 五箇所からあふれ出したモヤは、空を覆い隠し……光輪学院高等部を覆ってしまった。 「閉じ込められたのね……」 神無月は悲しい目で、空を見上げていた。 封印が解かれれば、彼女の<言霊>の力でもここから逃げることはできない。 ここから出るには、やることは一つ。 このモヤは土地が封印されながらも惹き付けてしまった邪気。 オカルト研究部は年に一度、封印をあえて破り、そして再び封じることが役目。 しかし封じるにも、このモヤを何とかしなくてはならない。 ――五人はその場から歩き出した。 邪気を封じる為に……。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加