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「ども、鈴原亮です。」
先生は軽く腕を組ながらため息をつき、
「君ね、ども。じゃないわよ。
おはようございます。でしょ。」
と、亮を諭した。
「はー、すいません。」
気の抜けた返事にまた先生はため息をついた。
「まぁーいいわ。
私が今日からあなたの担任の木村恵梨香(きむらえりか)よ、よろしくね。」
そう言うと、片手を出し亮に握手を求めた。
先生の手に亮も応え手を出すと、
「ふーん、この手があの本を書いたのね。」
と、先生は亮の手をじっくり見た。
そして、自分の引き出しからそっと、亮の書いた本を手にした。
「私も昨日、近くの本屋でこれ買ったわ。
まだ、読んでないけど、読み終えたら感想言ってあげる。
その代わり、今度本にサインしてね。」
笑顔でそう言った先生は、やはり今時女子の雰囲気を感じさせ、亮も先生ぶり過ぎないことに好感はもてた。
ただ、感想を後々勝手に告げられることや、サインの要求に関しては勘弁してほしいと思った。
「そうだ、同じクラスの子は昨日みんな自己紹介をしたの。
だから君も今日、自己紹介してね。
それと、私の方からは特に君が作家デビューしたことは、クラスの皆に伝えてないわ。
君がどうやって高校生活を送りたいか分からなかったからね。
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