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もし、なるべく作家のことに関して知られたくないのであれば、無理に言わなくてもいい。
ただ、そのうち情報は流れてくるでしょうから、隠しきることは難しいと思うけどね。」
そう告げると、いくつかのプリントを亮に渡し、自分の仕事に戻った。
亮は胸にプリントを抱えながら、これから一年間勉強をする1-1の教室がある3階へ向かった。
教室に着き、中に入ると数人の生徒が既に来ており、楽しそうに会話をしている生徒もいれば、携帯をいじっている生徒、中には教科書を開いて勉強している生徒も。
やはり皆、高校生活二日目だからなのかどこかよそよそしい感じがする。
とりあえず自分の席を探す亮であったが、それは意外な手招きにより意図も簡単に見つかった。
「こっちこっち。」
その声のする方へ目をやると、教室奥の窓際に座る見知らぬ男子生徒からの手招きだった。
亮はまさか自分だと思わず辺りを見回したが、自分しかおらず、自らを指さし首をかしげる。
「そうそう。君だよ。」
何故自分にこれほどまで親切、はたまた図々しく接してくるのかは分からなかったが、そのまま無視する訳にもいかず、手招きの赴くまま近づいた。
「おはよう。」
男子生徒の挨拶に、「おはよう。」とそのまま返すと、
「君の席は僕の前だよ。」と、椅子を引いてくれた。
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