偶然の産物

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亮にとっては正に、泣きっ面にハチである。 亮を知る男子生徒にこれから自白するつもりであったが、一言「あまり知られたくないから、周りには言わないでほしい。」と付け足そうとした矢先、これである。 確実に昨日書店で会っており、亮の本も持っていた。 これはどこへ逃げてもダメなのかと亮を諦めさせた。 しかし、それは意外な方向へと向かい始める。 急に現れたその女の子に、「ちょっと、ちょっと。」と言われ、腕を掴まれると教室から連れ去られた。 亮はされるがままに歩かされ、まだ初日の校舎にここがもうどこだか良く分からない場所まで連れて行かれた。 「ふー、ここらでいいか。」 そう言う女の子は、人気があまり無い所で立ち止まり亮の腕を離した。 なんだこの子はと、不思議に思っている亮に対して、女の子はいきなり一撃必殺かの如く、ビンタを亮の右頬に食らわせた。 パンッという、乾いた音と共に、亮はよろけた。 何が起きたのか訳が分からず、女の子を見た。 すると、 「はい、これでお相子ね。」 と、笑って言った。 亮には言っている意味がホントの本当に意味が分からず、叩かれた右頬を片手で抑えながら聞いた。 「いや、え?お相子って? 僕、君に何かしたっけ?」     
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