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一年一組
キーンコーンカーンコーン。
この音と共に本当の本当に亮の高校生活が始まった。
「はーい、それじゃーこれから朝のホームルームを始めるわよ。」
木村先生は出席をとっていく。
「~さん。」
「はい。」
「~さん。」
「はい。」
次々呼ばれる生徒達、そして、亮の番が来た。
「鈴原亮さん。」
「はい。」
亮はこの時内心ドキドキしていた。
なぜなら、この瞬間、もし教室がざわつくようなら、もう腹をくくって、「僕は作家です。」と告白しなければいけないと思っていたからだ。
しかし、それはどうやら自意識過剰過ぎたようで、誰一人、亮の名前が呼ばれてヒソヒソとする者はいなかった。
「えー、鈴原亮さんは、昨日諸事情で入学式を欠席しましたので、後で自己紹介をしてもらいます。
では、次。」
木村先生の一言に、先程話しかけてきた男子生徒は、亮に対して疑いの眼差しを向けた。
その視線を背後に感じながら、亮は自己紹介の内容を考えた。
"やっぱり、まだ作家であることは伏せておこう。
自ら告白するのはなんだか、僕すごいでしょう。とひけらかしているように見えるかもしれないし、何よりも僕は平凡な高校生生活を送りたい。
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