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後ろにいる子には、なんとか言い訳を言って誤魔化すしかない。"
ある程度、自己紹介の方向性が決まると、その時を亮は待った。
ただ、その前に一つの事件が起こる。
「田辺光さん。」
「、、、。」
「田辺光さん。田辺さん?」
「、、、。」
木村先生が田辺という人物を呼ぶが、返事がない。
「まったく、昨日もなんの連絡もせず入学式を欠席して、今日もまだ無断欠席かしら。
困ったものだわ。」
木村先生は何か手元のメモにペンでサラサラと書くと、次の生徒を呼ぼうとした。
その時、ガラガラと部屋に一人の生徒が入って来た。
そこには、昨日書店で亮と出会い、今日は亮の頬をいきなりビンタした、あの女の子だった。
「すいませーん。
校内を探検してたら、教室が分からなくなっちゃって。」
女の子はあたまをペコペコしながら席に着いた。
場所から言えば、亮の席から一つ向こうの同じ横列であった。
「もう、しっかりしてね。
昨日のこともそうだけど、こんな調子じゃ留年だってあるかもしれないわよ。」
木村先生は少しキツめのお灸を添えた。
「はい、では田辺光さん。」
「はい!!」
女の子は誰よりも大きく元気に返事をした。
「あ、ちなみに田辺光さんも、昨日入学式を欠席しているので、後で自己紹介をしてもらいます。」
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