デビュー

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そこから一馬と杏に、様々な出来事が起こるのだが、その一つ一つ、一馬の言動が女性にはたまらないらしい。 その一馬を描く高校生、鈴原亮も世の女性方からすると、一馬のような素敵な人だと思われている。 しかし、現実とは虚しいもので、一馬と違い亮は、ものすごい面倒くさがり屋で、ろくに恋をしたことが無かった。 では、何故一馬のような人物を描けたのか言えば、本のおかげと、ある人物のおかげである。 亮は昔から友達が外で遊んだり、ゲームをしている中、一人で本を読んでいた。 今まで自分でも何冊の本を読んだか覚えていないほど、とにかく沢山読んだ。 読む本のジャンルは特に決めておらず、ファンタジー、恋愛、ホラー、ミステリー、歴史など、幅広く本を開いた。 そうしている間にふとある一つの思いが亮の中に沸き起こった。 "もし自分で本を書いたらどうなのだろう" そう思ったのは中学三年の始めだった。 その思いは、日に日に強くなり、面倒なことか嫌いであった亮に、とうとう筆をとらせたのである。 筆をとるあと一歩の背を押したのは、風雲社と言う出版社が当時応募をかけていた、新人発掘コンテストであった。 ジャンル問わず、何をどう書いてもよく、とにかく自信ある作品を送って下さいと言うものであった。     
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