2人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
そこから一馬と杏に、様々な出来事が起こるのだが、その一つ一つ、一馬の言動が女性にはたまらないらしい。
その一馬を描く高校生、鈴原亮も世の女性方からすると、一馬のような素敵な人だと思われている。
しかし、現実とは虚しいもので、一馬と違い亮は、ものすごい面倒くさがり屋で、ろくに恋をしたことが無かった。
では、何故一馬のような人物を描けたのか言えば、本のおかげと、ある人物のおかげである。
亮は昔から友達が外で遊んだり、ゲームをしている中、一人で本を読んでいた。
今まで自分でも何冊の本を読んだか覚えていないほど、とにかく沢山読んだ。
読む本のジャンルは特に決めておらず、ファンタジー、恋愛、ホラー、ミステリー、歴史など、幅広く本を開いた。
そうしている間にふとある一つの思いが亮の中に沸き起こった。
"もし自分で本を書いたらどうなのだろう"
そう思ったのは中学三年の始めだった。
その思いは、日に日に強くなり、面倒なことか嫌いであった亮に、とうとう筆をとらせたのである。
筆をとるあと一歩の背を押したのは、風雲社と言う出版社が当時応募をかけていた、新人発掘コンテストであった。
ジャンル問わず、何をどう書いてもよく、とにかく自信ある作品を送って下さいと言うものであった。
最初のコメントを投稿しよう!